「家族信託」という制度をご存じですか?
日本は、世界に類をみない超高齢化社会に突入し、高齢者の6人に1人が認知症になる危険が高いといわれています。
現在でも、あちこちで金融資産や不動産の管理上大きな問題が発生しています。
例えば、親が認知症になり、通帳や印鑑のありかが分からず、預金の引き出しが出来ない。
不動産の処分をしたいが出来ない。
お亡くなりなれば、相続ということなになり、それなりの処分は出来ますが、ご存命の間は、本人の意思確認ができないと、基本的にその方の財産処分はできません。
例えば以下のようなケースは、ご家族は大変苦労されます。
① ご本人が施設に入所されたが、その費用をその方の年金や預金で賄おうとしても、認知症である本人が妥当な判断が出来ずに、預金解約の同意をされなかったり、通帳や印鑑の場所がわからず、預金を利用できないケース。
② 不要な不動産の売却を進めたいが、ご本人の同意が得られないケース。
「家族信託」という制度が極めて有用です。
これは、財産をお持ちの高齢の親が元気なうちに、財産の処分の権限を、家族のうちの一人に委託しておくという制度です。
それにより、高齢の親が認知症になって妥当な判断ができなくなっても、財産の適正な管理運用が可能になります。
また、この制度は、財産の処分方法や相続方法、不動産から得られる収入などを、それぞれの家族の事情により柔軟に設計することが出来ることになっています。
更に、この「家族信託」という仕組みが凄いのは、これまであった制度を一つにまとめた代用の意味を持つことになる点です。
① 元気な時から財産の管理・処分を託す → 委任契約の代用
② 本人の判断力能力低下後の財産処分を託す → 後見制度の代用
③ 本人が死亡した後の資産の継承を自由に指定できる → 遺言の代用
と言うことはですよ、これは、
「遺言機能に加えて、存命中の財産管理の方法やそこから生まれる収入の管理を指定する機能も併せ持つ」ということです。
なんだか凄い制度のような気がしませんか。
この制度は、2006年の信託法改正により生まれた制度ですが、まだ実例は多くなく、唐津の法務局方もほとんど実例を聞かないとおっしゃっていました。
しかし、これからの高齢・少子化社会 注目されてくる制度だと思います。
中古住宅などの不動産の管理においても、考えに入れておく制度だと確信しています。
パートナーの井手口司法書士ともよく話題にしています。
空き家などの遊休不動産の活用を目指した不動産屋を名乗るのなら、相談される方の資産の活用、資産処分方法、資産の管理方法など、広く相談を承る知識が不可欠だと思っています。
当地では、利用が少ないけれど重要で有用なこの制度をしっかりと研究して、井手口司法書士ともども「この制度の当地でのエキスパートでありたい」と考えいます。
ちょっと複雑な制度ですが、勉強成果をこの欄で挙げていきます。
質問やご指摘がありましたら、ご連絡下さい。
制度の活用を検討されたい方、一緒に研究されたい方、絶賛募集中です。
役に立つ不動産屋を目指しています。